閑古鳥の唐揚げ

全然客が来ない定食屋で鳴いていた閑古鳥を唐揚げにしたら美味しくて繁盛したが閑古鳥がいなくなり唐揚げが作れなくなったという古典落語があります。嘘です。このブログも繁盛させたいです。

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

第18唐 ポスター

見知らぬ住宅街を歩いていると、見知らぬ政治家の見知らぬ選挙ポスターを目にする。 見知らぬ、とは言ってもデザインはほとんど同じようなもので、加熱処理が必要なほど鮮度に欠ける。 彼らが考えるのはキャッチコピーや名前の平仮名表記の有無だけで、それ…

第17唐 空耳

ある朝、いつものようにお気に入りの洋楽を聴いていると、やけに歌詞が日本語のように聴こえることに気づいた。 「空耳ってやつか」 初めはそう思っていたが、どうも様子がおかしい。 歌詞の一部分だけでなく、全ての歌詞が日本語に聴こえるのだ。 「空耳イヤー…

第16唐 「希少」を「稀少」と書くのは希少

私の父は転勤族だった。 小学校だけで8回の転校を経験したが、転校先での出席番号はほとんどいつも一番最後。それは「流川」という名字のせいなのだが、出欠確認の時には「途中参加の奴を最後にオマケで呼んであげている」感を覚えずにはいられなかった。 唯一、…

第15唐 鈍り行き #1

ソメイヨシノが満ち咲く川沿いを、私は歩いていた。家からほど近いこの土手は、サラリーマン時代によく犬を散歩させた道だった。太陽を反射する水面の向かいでは、真新しいランドセルを背負った小学生が3人並んで歩いている。風で乱れた前髪を直しながらふと…