閑古鳥の唐揚げ

全然客が来ない定食屋で鳴いていた閑古鳥を唐揚げにしたら美味しくて繁盛したが閑古鳥がいなくなり唐揚げが作れなくなったという古典落語があります。嘘です。このブログも繁盛させたいです。

第64唐 倒れたてのドミノ

枕につける枕詞 十割そば殻の天丼セット

栓抜きの要る消火栓 帽子の小さい消防士

ダウンにダック シャトルにグース

北京の母にも食べさせたい

 

旅路途中のタンクトップは

ノースリーブで汽車に乗る

痰が絡んだ目覚まし時計が

午前3時に咳をする

 

枕につける枕詞 布団のT.M.Revolution

栓抜きの要る消火栓 缶詰めを売る文筆家

電波をジャック こまめにチェック

クイーンベッドで大貧民

 

芝居上手なおばんざいなら

オードブルまで演じ切る

控え選手の女流棋聖

穴熊囲いで暖を取る

 

はりぼてになった定価をどう見よう

夜鳴きそばの鳴き声をどう聞こう

インストのいろは歌をどう聴こう

常設の簡易トイレをどう見よう

第63唐 古今東西

古今東西!」

「「(`・∀・)ノイェ-イ!」」

「お題は、東京フレンドパークのアトラクション!」

パンパン🙏

「ウォールクラッシュ」

パンパン🙏

「フラッシュザウルス」

パンパン🙏

ハイパーホッケー

パンパン🙏

「ンゴボコ」

パンパン🙏

「デリソバゴールド」

パンパン🙏

「ネズミ殴るやつ」

パンパン🙏

「デカいワープロ打つやつ」

パンパン🙏

「棒とタイヤだけの物体の両輪を操作するやつ」

パンパン🙏

「デカいバスケットボールをゴールまで運ぶやつ」

パンパン🙏

「アメフト部にタックルしてボール投げ入れるやつ」

パンパン🙏

ハンバーガーをてこの原理で投げ飛ばして包装箱に入れるとかのミニゲーム何個もやるやつ」

パンパン🙏

「画面の中で上下に流れる棒を叩いて止めてゴールまでつなげるやつ」

パンパン🙏

「ルームランナーである程度走らないと答えられないクイズ」

パンパン🙏

「UFOキャッチャーみたいな感じでエイリアンの口に何かを入れるやつ」

パンパン🙏

「シーソーを移動しまくってレーンを傾けてボールをゴールのカゴまで運ぶけどやつ」

パンパン🙏

「音の出るデカいボタンみたいなやつを押す順番を覚えて演奏するけどドンピシャで当てないとずっとカチャカチャ言ってるだけでよく分からんやつ」

パンパン🙏

「矢でリンゴを撃ち落として背中のカゴでキャッチするやつ」

パンパン🙏

「4本のうち2本落ちてくるパイプをキャッチするやつ」

「それVS嵐〜!」

第62唐 ( スシ )食いねェ!

問1.次の文章に当てはまる言葉を下の選択肢から選びなさい。(複数使用可)

 

(    ア    )は(    イ    ) (    ウ    ) (    エ    )

ヘイ・ラッシャイ

(    オ    ) (    カ    ) (    キ    ) (    ク    )

ヘイ・ラッシャイ

(    ケ    ) (    コ    )に(    サ    )(    シ    )

ヘイ・ラッシャイ

(    ス    ) (    セ    ) (    ソ    )(    タ    )

ヘイ・ラッシャイ

ここのスシ屋は日本一

スシ食いねェ スシ食いねェ スシ食いねェ!

(    チ    ) (    ツ    ) (    テ    ) (    ト    ) (    ナ    ) (    ニ    )

 

A.マグロ Bトロ C.中トロ D.大トロ E.ビントロ

F.サーモン G.カンパチ H.カツオ I.スズキ J.コハダ

K.サンマ L.アジ M.しめサバ N.ウナギ O.アナゴ

P.エビ Q.甘エビ R.イクラ S.ウニ T.ホタテ U.アワビ

V.つぶ貝 W.ミル貝 X.赤貝 Y.アガリ Z.ガリ

 

第61唐 赤い彗星

後ろから女性の悲鳴。

振り向く僕らの視線の先。

マダムの手許から弾けた赤い果実が、坂の力を借りて転がり始めていた。

 

「ふじだ。」

彼女はリンゴの品種に詳しかった。

 

流星群のように迫ってくるリンゴを少しでも救いとろうとする僕の横で、彼女は声を震わせていた。

「つがる、紅玉、、、、!」

赤い星の欠片は、立ち尽くす彼女の脚元をくぐり抜ける。

「北斗!シナノスイート!ジョナゴールド!」

頬は紅潮し、体は痙攣している。

 

「こんなのはじめて、、、」

ついには石畳に膝から崩れ落ちた。

 

その彼女の元に1個、青リンゴが流れ着いた。

「、、、、、王林!!!!!」

彼女は昇天した。

 

その後、彼女の意識が戻ることはなかった。

この痛ましい事故の反省として、イタリア政府は「石畳の坂の上からリンゴが転がってしまう場合、その数がいくつであろうと品種は特定の1つに統一する、またそれは赤リンゴに限る」との法律を制定した。

第60唐 信号を待ちながら

信号待ち。

 

 

信号はまだ変わらない。

 

 

大学生ほどの男女の会話に耳を傾ける。

端午の節句がビンゴの節句だったら、5月4日はリーチの節句かな。」

「そうかもね。」

「そしたら5月1日はFREEの節句かな。」

「そうなのかもね。」

「そもそもゴールデンウィークなのに、みどりの日があるのがおかしいよな。ゴールデンじゃないし。」

「そうだね。」

女はずっと、スマホの縁をなぞっていた。

 

 

信号はまだ変わらない。

 

 

サラリーマン達の会話に耳をそばだてる。

マツケンサンバってあるじゃないですか。」

「おう。」

「アレって松平健が歌ってますよね。」

「やな。」

高倉健が歌ってたら、タカケンサンバだったんですかね。」

「そうやろな。」

「『あぁ恋せよアミーゴ 踊ろうセニョリータ』の指差しする振り付け、タカケンサンバだったらまんま鉄道員だったと思うんですよね。」

「お前鉄道員見たことあんの?」

「ないです。」

上司は、鳩に豆鉄砲を食らったような顔をしていた。

 

 

信号はまだ変わらない。

 

 

作業着姿の男達の会話に耳を澄ます。

「千円札が不足しています。って書いてる店たまにありますよね。」

「あるな。」

「この前、二千円札が不足しています。って書いてる店があって。」

「ないな。」

「不足してるんだったら、と思って、二千円札で払ったんですよ。」

「持ってたんやな。」

「でもそれが偽札だったらしくて。」

「ほう。」

凱旋門が描かれてて。」

「パリじゃん。」

彼らはおそらく、パリっ子ではなかった。

 

 

信号はまだ変わらない。

 

 

 

信号待ち。

 

 

貴婦人達の声が聞こえる。

「滝に行ったの。滝に。滝に滝に。滝に。」

「あら、滝に。」

「そう、滝に滝に。」

 

その時、信号が変わった。

 

歩き出す人々。

雑踏の中で、声は微かに。

断片的に聞き取れた音。

 

私は、滝沢歌舞伎を見に行くことを「滝に行く」と表現したあのマダムのことを、ふと思い出すだろう。

そうしてクスッと笑う時間はきっと、信号待ちほど無駄ではない。

 

第59唐 坂本慎太郎が歌わない歌

ほねつぎ それは整骨院とは違う

ほねつぎ それは接骨院とも違う

ほねつぎ それは整体院とは違う

ほねつぎ それは鍼灸院とも違う

 

柔道整復術 きみがほねつぎ

 

ほねつぎ それはほねを治さない

ほねつぎ それはほねを繋がない

ほねつぎ それはほねを癒さない

ほねつぎ それはほねを結ばない

 

ほねを接ぐ きみがほねつぎ

 

ひらがな4文字 それがほねつぎ

漢字で書かない それがほねつぎ

不思議な4文字 それがほねつぎ

なめろうの類い

 

ひらがな4文字 それがほねつぎ

漢字で書かない それがほねつぎ

不思議な4文字 それがほねつぎ

さしずめの類い

 

第58唐 運命のバレンタイン

鈴木「佐藤くん、、、このチョコ受け取ってください!」

佐藤「ありがとう!これもしかして手作り?」

鈴木「うん!昨日頑張って作ったの!」

佐藤「そうなんだ!じゃあ合格するといいね!」

鈴木「え?」

 

アナ『本日判定いただくのは、こちらの7名の一流パティシエの皆さんです!』

鈴木「急になに?」

アナ『では皆さん、試食の方お願いします』

鈴木「なんで?」

アナ『ショコラティエ世界大会チャンピオンの角谷はまずその形をじっくり観察しています』

鈴木「え、誰?どういうこと?」

アナ『ホテル品川トラットリアの床田はナイフで小さく切って一口』

鈴木「これコンビニとかチェーン店のメニューでやるやつだよね?なんで私の手作りチョコでやってるの?」

アナ『日本一のフルーツタルト職人、武田は一口齧った後、舌触りを確認しています』

鈴木「絶対不合格だって、ボロカス言われるよ」

アナ『武田は小さく頷いています』

鈴木「いい感触なんだけど」

床田「これはどこ産のカカオを使ってるんですか?」

鈴木「いやカカオの状態から作ってないです。」

床田「じゃあベルギーからチョコレートを取り寄せてるとか?」

鈴木「市販のやつです。明治のやつです。」

床田「濾しの工程は3層くらいしてます?」

鈴木「いや濾しとかしてないです。湯煎して型に入れて冷やしただけなんで。」

アナ『床田の眉間に皺がくっきりと!』

鈴木「女子高生の手作りチョコにそんなに求められても」

アナ『銀座でミシュラン一つ星を獲得した板前の佐々木、完食してこの表情!』

鈴木「え、板前いるの?キャスティングミスしてない?合格出してくれそうだけど」

アナ『うどん職人の曽我部はチョコを出汁に溶かしています!』

鈴木「勝手なことしないで」

曽我部「これ生地はどれくらいの時間踏んでるんですか?」

鈴木「うどんの質問じゃん。踏んでないです、チョコなんで」

アナ『床田の眼光が一層厳しくなります!』

鈴木「え、パティシエ的にも踏んだ方がよかったの?」

アナ『鎌倉に行列店を構える北澤は造形をかなり気にしています』

鈴木「型から外す時ちょっと失敗したんだよなあ」

北澤「これ、なんでハート型選んだの?」

鈴木「えっと、バレンタインだし、かわいいかなと思って」

北澤「これは本命チョコ?」

鈴木「え、それは、、、」

北澤「友チョコ?」

鈴木「いや、友チョコではないですけど」

北澤「じゃあ本命なんだ」

鈴木「まあ、はい」

北澤「ふーん」

鈴木「今の質問要りました?」

北澤「佐藤くんはこれもらってどう思った?」

鈴木「それ聞きます?」

佐藤「一生懸命手作りしてくれたんで、ぜひ合格して欲しいです」

鈴木「いや合格もらいたくて頑張ったわけじゃないんだけど。あんたのために頑張ったんだけど」

佐々木「青春っていいですねえ」

曽我部「キュンキュンしますね」

鈴木「板前とうどん屋は黙ってて」

アナ『THE ALFEE 高見沢はかなり悩んでいる様子!』

鈴木「大ファンなんだけど」

高見沢「星空のディスタンスだっけ?星空の下のディスタンスだっけ?」

鈴木「たかみーもそろそろ歳かな」

 

アナ『さあ、それでは運命の判定です!』

佐藤「頼む!」

鈴木「なんで祈ってんの?」

アナ『合格、合格、合格、合格、合格、合格、合格!満場一致で合格です!』

鈴木「店出すわ」