閑古鳥の唐揚げ

全然客が来ない定食屋で鳴いていた閑古鳥を唐揚げにしたら美味しくて繁盛したが閑古鳥がいなくなり唐揚げが作れなくなったという古典落語があります。嘘です。このブログも繁盛させたいです。

第58唐 運命のバレンタイン

鈴木「佐藤くん、、、このチョコ受け取ってください!」

佐藤「ありがとう!これもしかして手作り?」

鈴木「うん!昨日頑張って作ったの!」

佐藤「そうなんだ!じゃあ合格するといいね!」

鈴木「え?」

 

アナ『本日判定いただくのは、こちらの7名の一流パティシエの皆さんです!』

鈴木「急になに?」

アナ『では皆さん、試食の方お願いします』

鈴木「なんで?」

アナ『ショコラティエ世界大会チャンピオンの角谷はまずその形をじっくり観察しています』

鈴木「え、誰?どういうこと?」

アナ『ホテル品川トラットリアの床田はナイフで小さく切って一口』

鈴木「これコンビニとかチェーン店のメニューでやるやつだよね?なんで私の手作りチョコでやってるの?」

アナ『日本一のフルーツタルト職人、武田は一口齧った後、舌触りを確認しています』

鈴木「絶対不合格だって、ボロカス言われるよ」

アナ『武田は小さく頷いています』

鈴木「いい感触なんだけど」

床田「これはどこ産のカカオを使ってるんですか?」

鈴木「いやカカオの状態から作ってないです。」

床田「じゃあベルギーからチョコレートを取り寄せてるとか?」

鈴木「市販のやつです。明治のやつです。」

床田「濾しの工程は3層くらいしてます?」

鈴木「いや濾しとかしてないです。湯煎して型に入れて冷やしただけなんで。」

アナ『床田の眉間に皺がくっきりと!』

鈴木「女子高生の手作りチョコにそんなに求められても」

アナ『銀座でミシュラン一つ星を獲得した板前の佐々木、完食してこの表情!』

鈴木「え、板前いるの?キャスティングミスしてない?合格出してくれそうだけど」

アナ『うどん職人の曽我部はチョコを出汁に溶かしています!』

鈴木「勝手なことしないで」

曽我部「これ生地はどれくらいの時間踏んでるんですか?」

鈴木「うどんの質問じゃん。踏んでないです、チョコなんで」

アナ『床田の眼光が一層厳しくなります!』

鈴木「え、パティシエ的にも踏んだ方がよかったの?」

アナ『鎌倉に行列店を構える北澤は造形をかなり気にしています』

鈴木「型から外す時ちょっと失敗したんだよなあ」

北澤「これ、なんでハート型選んだの?」

鈴木「えっと、バレンタインだし、かわいいかなと思って」

北澤「これは本命チョコ?」

鈴木「え、それは、、、」

北澤「友チョコ?」

鈴木「いや、友チョコではないですけど」

北澤「じゃあ本命なんだ」

鈴木「まあ、はい」

北澤「ふーん」

鈴木「今の質問要りました?」

北澤「佐藤くんはこれもらってどう思った?」

鈴木「それ聞きます?」

佐藤「一生懸命手作りしてくれたんで、ぜひ合格して欲しいです」

鈴木「いや合格もらいたくて頑張ったわけじゃないんだけど。あんたのために頑張ったんだけど」

佐々木「青春っていいですねえ」

曽我部「キュンキュンしますね」

鈴木「板前とうどん屋は黙ってて」

アナ『THE ALFEE 高見沢はかなり悩んでいる様子!』

鈴木「大ファンなんだけど」

高見沢「星空のディスタンスだっけ?星空の下のディスタンスだっけ?」

鈴木「たかみーもそろそろ歳かな」

 

アナ『さあ、それでは運命の判定です!』

佐藤「頼む!」

鈴木「なんで祈ってんの?」

アナ『合格、合格、合格、合格、合格、合格、合格!満場一致で合格です!』

鈴木「店出すわ」