閑古鳥の唐揚げ

全然客が来ない定食屋で鳴いていた閑古鳥を唐揚げにしたら美味しくて繁盛したが閑古鳥がいなくなり唐揚げが作れなくなったという古典落語があります。嘘です。このブログも繁盛させたいです。

第42唐 湿気た煎餅 塩の味

「最近ボードゲームにハマっててな」

「ああ、面白いよな」

「そうそう、それで俺もゲーム開発したのよ」

「自分で考えたんや」

「言ってみれば紙相撲なんやけどな」

「紙相撲?」

「お前も1回はやったことあるやろ」

「思ってたボードゲームと違うな」

「え?」

「紙相撲をボードゲームって言う?」

「広義では」

「広義かい、狭義やと思ってたわ」

「いや狭義なわけないやろ!ホンマにそういうとこ直した方がいいぞ」

「そこまで言わんでもええやん」

「いやお前は何でも狭義で捉えるからな」

「お前が広義で捉えすぎなんやと思うけどな、この前も服買ったって言って靴下買ってたし」

「靴下は服やろ」

「広義やなあ」

「そんなんどうでもいいんよ、紙相撲の話」

「そうやそうや」

「でな、普通の紙相撲と違うのが、このゲームは4人対戦やねん」

「なるほど、みんなで遊べるようにしたんや」

「そうそう、力士が東西南北から土俵に上がるから、名付けて東西南北紙相撲!」

「そのままやなあ、子どもが産まれた時は奥さんに名前考えてもらった方がいいで」

「では取組を始めて行きましょう」

「こいつ馬の耳なんかな」

 

「ひが〜し〜、秋ヶ里〜〜」

「おりそうおりそう」

「モンゴル ウランバートル出身」

「出身言うけど」

「に〜し〜、焼野原〜」

「ちょっと縁起悪い名前やなあ」

「モンゴル ウランバートル出身」

「そこはええんよ」

「みな〜み〜、朝赤飯〜」

「昨晩娘が初潮迎えたんか」

「モンゴル ウランバートル出身」

「絶対日本やろ、モンゴルに赤飯の文化ないわ」

「き〜た〜、ジョン・レノン〜」

ジョン・レノン!?!?」

「イギリス リバプール出身」

「ちょっと待て!なんでジョン・レノンが出るんや」

「そこはプレイヤーの自由やからなあ」

「にしても自由すぎるやろ、カタカナやし」

「伝統を重んじるのは大事やけど、過度な干渉は長期的に見れば衰退に繋がるだけやぞ」

「大局観はあるんかい」

 

「では、見合って見合って〜」

「お、始まる」

「はっけよーい、のこった!」

「・・・」

「・・・」

「え、何もせんの?」

「何もせんよ」

「土俵叩いて戦わせたりするんちゃうん?」

「いや、力士達の思いのままに戦わせる」

「は?」

「我々は応援に徹するだけよ」

「いや紙相撲やから動かんやん、何がおもろいんこれ」

「まあ見とき」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「朝赤飯の勝ち〜」

「なんで?」

「決まり手は、餓死〜」

「相撲で持久戦すんな!」

「こういう戦いなんよ」

「朝食しっかり食べてきたやつが勝っとるだけやん」

「そう、このゲームのカギはいかに食事がとれる四股名を付けるかなんよ」

クソゲーやん」

「じゃあそれを踏まえて次の取組を見てみましょう」

 

「ひが〜し〜、朝赤飯〜」

「あんま1人が連戦せんけどな、千秋楽なんかな」

「モンゴル ウランバートル出身」

「そこ腹立つわ」

「に〜し〜、雪の宿〜」

「煎餅では勝てんやろ、腹にはたまるけど」

新潟県 新潟市出身」

「三幸製菓やからな」

「みな〜み〜、食放題〜」

「絶対勝つやん!」

スウェーデン ビルカ出身」

「それは海賊の方のバイキングやろ」

「き〜た〜、リンゴ・スタ〜」

「なんでや!」

「イギリス リバプール出身」

「そこはええから!ビートルズ好きやな」

「一応リンゴ食べれるから戦えるかなと」

「だとしても果実では無理よ、食放題のラインナップにあるやろうし」

「そうか」

「包含されてるから」

「なかなか厳しい戦いになりそうですが、見合って見合って〜」

「始まる」

「はっけよ〜い、のこった!」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「雪の宿の勝ち〜」

「食放題が負けた!なんでや!」

「決まり手は、裏金〜」

「三幸製菓が行司とズブズブや!もうええわ!」