閑古鳥の唐揚げ

全然客が来ない定食屋で鳴いていた閑古鳥を唐揚げにしたら美味しくて繁盛したが閑古鳥がいなくなり唐揚げが作れなくなったという古典落語があります。嘘です。このブログも繁盛させたいです。

第19唐 鼻栓

けんたくんは、いぬのこたろうともりのなかをあるいていました。

 

するとめのまえから、ながねぎをもったおおおとこがあるいてきました。

おおおとこは、けんたくんにいいました。

「このやさいのなまえをしってるかい?」

けんたくんはすこしおびえながらこたえました。

「ながねぎ。」

おおおとこは、つづけてこうききました。

「このながねぎは、ながくみえるかい?それとも、みじかくみえるかい?」

けんたくんは、

「おじさんがおおきいから、みじかくみえるよ。」

とこたえました。

するとおおおとこは、ながねぎでひだりてをぽんぽんとたたきながらこういいました。

「じゃあこのやさいは、ながねぎといえるのかな?」

けんたくんはしつもんのいとをはかりかねながらも、きぜんとしたたいどでこうかえしました。

「そりゃながねぎだよ。このやさいはながねぎなんだから。おじさん、そんなこともわからないの!」

おおおとこは、そのことばをきくやいなや、きみのわるいえがおをうかべました。

そして、けんたくんにながねぎをてわたしながらこういいました。

「ごめんごめん。でも、よくみてみてよ。」

けんたくんは、そのながねぎをみておどろきました。

いつもおかあさんがスーパーでかっているながねぎよりも、とてもとてもみじかかったのです。おおおとこがもっているからみじかくみえているわけではなかったのでした。

けんたくんはとまどいながらも、こうこたえました。

「な、ながねぎだよ!これはながねぎっていうなまえなんだから!」

おおおとこは、おおきなこえでわらいはじめました。

「はっはっはっ。みじかくてもながねぎか。きみくらいのねんれいでもそうなんだね。」

けんたくんは、そのことばのいみがよくわかりませんでした。

「ぼくが5さいっていうのがなにかかんけいあるの?」

おおおとこは、ながいあしをまげてけんたくんとめせんをあわせ、こういいました。

「まだわからなくていいんだ。せめられるべきは、このくにのおえらいさんたちなんだからね。さあ、これをもっていえにかえりなさい。いつかわかるひがくるよ。」

けんたくんがぽかんとしていると、こたろうがながねぎをけんたくんのてからうばうようにくわえ、いえのほうこうへはしっていきました。こたろうをおいかけてはしるけんたくんのせなかにむけて、おおおとこはさけびました。

「おきなわでかれーやにいくんだ!そこにひんとがある!」

 

 

それからすうねんがたって、けんたくんはすっかりこえがわりし、こたろうもすっかりおじいさんになっていました。

 

なつやすみにかぞくでおきなわにいくとおとうさんにいわれたとき、けんたくんはとっさにこうこたえていました。

「かれーやにいきたい!」

おとうさんは、けげんそうなかおをしました。

「だめだよ、おきなわといえばそーきそばかおきなわそばだろ。かれーなんかたべないよ。」

 

けんたくんは、みずからのちちおやのあたまのかたさにがくぜんとしました。そして、すうねんまえのもりでのできごとをおもいだしました。

「そうか。ながねぎでも、みじかくみえたらながねぎじゃなくていいんだ。きぞんのがいねんにとらわれていてはだめなんだ。」

 

そこからいっしゅうかんで、けんたくんはかれーのかおりがするはなせんのあいであをまとめあげ、ありとあらゆるめーかーへぷれぜんにいきました。そしてはんとしご、とうとうしょうひんかにこぎつけました。

きゅうかくでみかくをまどわせることでにがてなものでもおいしくたべられるとあって、そのしょうひんはみるみるうちにだいひっとしました。

 

しんぶんのいんたびゅーでこのしょうひんをつかってたべてほしいものをきかれたとき、けんたくんはこうこたえました。

 

「きざみねぎ。」